三重県知事選挙が地獄過ぎる。一見はメガソーラー・移民推進派

一見勝之

三重県知事選挙が「地獄過ぎる」と言われる所以は、候補者の顔ぶれとその政策姿勢にある。選択肢が県民の期待とかけ離れており、「誰に投票すればよいのか」という根本的な問いに直面している有権者が少なくない。

まず共産党公認の石川候補についてである。石川氏はブラジルからの帰化人で、日本語も流暢とは言い難く、県政の舵取りを担う候補者として不安視されている。共産党の政策スタンスに共感する層も一部に存在するが、知事という実務責任の重い立場にふさわしいかどうかは疑問が大きい。実際、県民に必要なのは理想論ではなく、現場感覚に即した現実的な政策と強い実行力である。残念ながら、石川氏の立ち位置はその条件に適うものとは言いがたい。

次に注目されるのが、自民・公明・立憲・国民といった与野党相乗り推薦を受けた一見候補である。表向きは「オール三重」の旗印を掲げ、安定感や実績をアピールしているが、その政策内容を掘り下げると看過できない問題点が浮かび上がる。

第一に「メガソーラー推進」である。三重県内の山間部にはすでに多くのメガソーラーが設置され、森林伐採や土砂災害リスク、景観破壊といった弊害が顕在化している。県民の間でも「自然を犠牲にしてまでエネルギー確保を進めるべきではない」との声が強く、太陽光発電に対して慎重姿勢を求める意見が高まっている。それにもかかわらず、一見候補は推進姿勢を崩していない。これでは「自然環境よりも業者や利権を優先しているのではないか」との疑念が払拭できない。

第二に「移民受け入れ」に対する姿勢である。一見候補は「外国人無しに三重も日本も経済は回らない」と公言している。少子高齢化や人手不足が深刻な中で、外国人労働者に頼る考え方は一見すれば合理的に見える。しかし、この言葉の裏には「県民の雇用よりも外国人労働者を優先するのではないか」「移民が拡大すれば地域社会が混乱するのではないか」という強い不安がある。川口市などの事例を見ても、大規模な外国人コミュニティが短期間で形成されれば、騒音問題や不法就労、治安悪化などのトラブルが頻発するのは明らかだ。

さらに、一見候補を推すのは自民から立憲までの「大政党連合」である。この構図自体が、政策よりも「既得権益の維持」「政権政党とのパイプ」を重視していることを示している。県民にとって重要なのは利権ではなく暮らしの安定である。しかし、相乗り推薦という形は、既存の政党勢力が「自分たちに都合の良い知事を誕生させたい」と動いているに過ぎないと映りかねない。

つまり三重県知事選の現実は、「共産党候補は現実性に乏しく、自民・公明・立憲・国民が推す一見候補はメガソーラーと移民推進派」という、どちらを選んでも県民が望む方向性から遠い選択肢しか用意されていない状況にある。これが「地獄」と呼ばれる理由である。

本来であれば、地方のリーダーは地域の声に耳を傾け、自然や伝統を守りながら持続可能な発展を目指すべきだ。しかし、今回の候補者構図からは「環境破壊」「移民依存」「利権優先」という危うい未来しか見えてこない。

県民にとって最も大切なのは「何を守り、何を変えるのか」という視点である。安易に「外国人労働者が必要だから受け入れる」「再生可能エネルギーだから太陽光を進める」といった短絡的な政策は、長期的に地域社会の安定を損なうリスクを抱えている。県知事選は単なる権力闘争ではなく、県民生活そのものの未来を決定づける重要な機会である。

三重県知事選を前に、私たち有権者は改めて冷静に考えるべきだろう。「本当にこの候補でいいのか?」と。既得権益の延命か、県民の暮らしの安定か――今回の選挙は、その問いが鋭く突きつけられているのである。