日本に留学中の中国人学生がアルバイトで得た所得について、長年にわたり適用されてきた**所得税の免除措置(日中租税協定 第21条)**が、政府の主導により、ついに撤廃される方向で動き出しました。これは、最近、外国人に対する課税の公平性を確立するための政策パッケージの一つとして、高市早苗氏をはじめとする自民党内の保守派議員が強く推進している動きです。この措置は、かつては留学生の受け入れ促進と相互交流の観点から設けられたものですが、現在の国際的な課税原則や世論との乖離が指摘され、見直しの機運が高まっていました。
免除の根拠となっているのは、1989年に発効した日中租税協定の第21条です。この条項は、中国から教育を受ける目的で来日した学生に対し、**本人の生計、教育のために受け取る給付や所得(アルバイト代など)**を一定の条件のもとで非課税とする特権を認めてきました。この制度を利用するには、留学生が雇用主を通じて税務署に「租税条約に関する届出書」を提出する必要があります。しかし、この特権は、他の国からの留学生に対して同様の優遇措置を設けている租税協定が少ないこと、特に近年は留学生の労働時間が実質的に緩和されたことで、実態として優遇税制となり、公平性に欠けるとの批判が強まっていました。
今回の政府の動きの背景には、国際的な課税原則である**「滞在国で課税を受ける」**というスタンダードに合わせる狙いがあります。近年、中国からの留学生が急増し、アルバイトによる収入を得る機会が増えた結果、日本で働く日本人や他の国籍の外国人労働者との間に、不公平な税負担が生じているとの指摘が相次いでいました。
この撤廃の動きに対する世間からの評価は、概ね肯定的です。インターネット上の議論や一部メディアの論調では、「優遇特権の是正は当然だ」「公平な税制を実現すべき」といった意見が多数を占めています。特に、特定国籍の留学生だけが優遇されている点が「留学交流促進」という本来の目的を超え、「実質的な不公平」を生んでいると見られていたため、今回の是正策は歓迎されています。しかしながら、一部からは「留学生の生活支援という観点から、拙速な廃止は避けるべき」「日本の国際的なイメージに影響を与えるのではないか」といった慎重論もわずかに存在します。
今後のプロセスとしては、この免税措置が国家間の条約である日中租税協定に基づくため、日本政府は中国政府に対して協定の改正交渉を申し入れ、両国間の合意を得る必要があります。この交渉と、その後の国会での承認を経てはじめて、免税措置は正式に廃止され、新たな課税ルールが施行されることになります。政府・与党内では早期の改正を目指していますが、中国側の反応や交渉の進捗次第では、発効までに時間を要する可能性も指摘されています。