参政党の安藤裕衆議院議員が、9月12日の予算委員会で行った国会答弁が話題を呼んでいる。テーマは「トランプ関税」と「日本の消費税」。安藤氏は、アメリカとの貿易交渉が日本経済にどのような影響を及ぼすのか、そして日本政府はどのような姿勢で臨むべきなのかを鋭く問いかけた。
安藤氏は冒頭、アメリカの保守系政治活動家チャーリー・カーク氏の訃報に触れ、哀悼の意を表したうえで、彼が主導した若者運動「Turning Point USA」を紹介した。そのうえで「日本はまだ間に合う」というカーク氏の言葉を引用し、失われた30年を終わらせるためには、日本の政策そのものを見直す必要があると強調した。
議論の中心は、アメリカが課している「トランプ関税」と、日本の「消費税」の関係にある。トランプ前大統領はかねてから、付加価値税(VAT)が「非関税障壁(関税以外の貿易障壁)」にあたると批判してきた。安藤氏はこれを受け、日本の消費税もアメリカ側にとって「不公平な税制」と見なされている可能性を指摘し、「この点について政府はどう考えるのか」と財務大臣に質問した。
これに対し、加藤財務大臣は「日本の消費税は国内外の製品に一律に課されており、輸入品を不利に扱うものではない。したがって非関税障壁には当たらない」と明言。また、輸出企業への「消費税還付」についても、「国際的に共通した仕組みであり、輸出補助金には該当しない」と説明した。つまり、消費税は国内消費に課す税であり、輸出取引では免税となるのが国際ルール上の取り扱いだという立場だ。
しかし安藤氏は、アメリカの立場から見れば話は異なると指摘する。アメリカには付加価値税が存在しないため、輸出時に税の還付を受ける仕組みがない。その一方で日本企業は輸出時に消費税の還付を受けるため、結果的に日本企業が有利になっているように映るのではないか――これがトランプ政権が「不公正な貿易」と見なした背景だと述べた。
さらに安藤氏は、日本政府が交渉の中で「消費税の見直しをカードに使う」発想がなかったのかを追及した。「もし消費税減税や廃止を提案していれば、非関税障壁を理由に関税を引き上げる根拠を失わせることができたのではないか」という主張だ。これに対して政府側は、「協議内容については答えられないが、日本の国益を最大化する観点から交渉した」とするにとどまった。
その後のやり取りでは、仮に関税が25%のままだった場合、日本企業の収益が最大5%押し下げられるとの試算も紹介された。最終的な合意で関税は15%まで下がったが、その裏で日本はアメリカに5,500億ドル(約80兆円)もの巨額投資を約束している。この「投資合意」こそ、今回の関税交渉の実質的な代償だと安藤氏は見る。
安藤氏は、こうした巨額の対米投資を批判し、「もしこの80兆円を国内に投資すれば、日本のGDPは確実に拡大する」と訴えた。日本は「貿易立国」と言われるが、実際のGDPに占める輸出の割合は2割にも満たない。むしろ内需が経済を支えている国であり、国内投資こそ最も効果的な経済成長策だというのが安藤氏の主張だ。
彼はまた、日本国内のインフラ老朽化や水道管破裂、道路の「ミッシングリンク」などを挙げ、国民生活の安全と利便性を守るために投資すべき分野は山ほどあると強調。「アメリカが“アメリカファースト”を掲げるなら、日本も“日本ファースト”であるべきだ」と訴えて質疑を締めくくった。
今回の国会答弁は、単なる関税論議にとどまらず、日本経済の根幹である「消費税」と「内需重視」のあり方に一石を投じる内容だった。日本政府がアメリカとの関係を重視するあまり、国内の成長機会を失っていないか――安藤氏の問いは、今の日本経済の構造問題を突いている。
実際、9月4日に発表された日米の関税合意では、自動車関税を27%から15%に引き下げる代わりに、日本の対米投資が明文化された。表向きは関税引き下げだが、実態は日本側が経済的な負担を背負う形だ。ネット上でも「日本がアメリカの財布にされている」「これで国益を守っていると言えるのか」といった批判が相次いでいる。
安藤氏の発言は、単なる政党アピールではなく、「国民の生活を守るための現実的な経済政策をどう構築するか」という根源的な問いでもある。消費税をどうするのか、関税政策をどう位置づけるのか――その答えを出せるのは、今の政治に他ならない。