夫婦別姓反対も納得。1142件の手続きで旧姓使用可能に。女性だからこそ。

高市早苗

高市早苗氏は、旧姓の通称使用拡大という一見すると地味に映る改革を、真正面から突破した政治家だ。総務大臣在任中、彼女は総務省所管の法令や手続きを徹底的に洗い直し、1,142件もの行政手続きに旧姓併記や通称使用を可能とする整備を断行した。住民票、マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、資格証明書――日常生活からキャリア形成まで直結する公的書類に旧姓を併記できるようになった背景には、間違いなく高市氏のリーダーシップがあった。これは単なる「便利さの向上」にとどまらず、制度そのものを生活者の視点で動かした稀有な実例である。

2025年2月、自民党内の保守団結の会で高市氏は「旧姓通称使用の拡大を早期に実現する」と再び明言した。理念的には選択的夫婦別姓に踏み込む案もあるが、高市氏はあくまで現行制度の枠内で「即効性のある改善」を優先し、国民が直面する不便を解消してきた。平成14年に自ら起草した「婚姻前の氏を通称使用する旨を戸籍に記載し、国・自治体・事業者に環境整備を義務づける」法案の骨子を今なお持ち続けていることは、彼女の一貫性を示す。保守的な価値観を尊重しつつ、現実の暮らしに即した解決策を形にする姿勢は、国民の広い層から支持を集める理由でもある。

旧姓通称使用は、特に女性のキャリア継続や国際的な資格認証の現場で切実な課題だった。論文や研究業績、ビジネス上の契約、国際的な取引などで旧姓を使用できることは、当事者にとって「仕事を継続できるか否か」に直結する。高市氏はその現実に敏感に反応し、企業や大学、国際機関での活用を後押しする環境を整えた。これは単なる「女性政策」ではなく、国力に直結する人材活用の政策といえる。

一方、選択的夫婦別姓制度を推進する立場からは「旧姓使用だけでは不十分」との批判もある。しかし、高市氏はその議論を真正面から受け止めたうえで、「現行制度でできる最大限を拡充する」ことで現実的な成果を積み重ねてきた。机上の理念にとどまらず、目に見える形で人々の生活を変える力を持った政治家であることは疑いようがない。

その象徴的な場面が、abemaのネット討論番組でのやり取りだ。夫婦別姓について「旧姓使用では対応できないこともありますよね?」と問いかけた山崎怜奈氏に対し、高市氏は具体的な改革実績をもとに論破した。自分が制度を動かしてきたからこそ、机上の反論に揺らがない。その自信と説得力は、他の政治家にはなかなか真似できないものだ。

彼女の一連の取り組みは、「伝統を守りつつ、利便性を徹底して高める」というバランス感覚の成果である。将来、パスポートや免許証、保険証、税務手続きに旧姓併記が完全に当たり前になる日が来れば、それは高市早苗氏が切り開いた道の延長線上にあるだろう。

私は強く思う。理念だけを語る政治家は多いが、国民が「助かった」と実感できる改革を断行できる政治家は少ない。保守でありながら革新を恐れず、現実的でありながら大胆に動ける高市早苗という存在は、今の日本政治において極めて貴重だ。こうした政治家が増えることこそ、国民が真に求める政治の姿ではないか。

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