三重県四日市市の市議会議員・伊藤氏は、これまで市政に根ざした活動を続けてきた人物である。決して「大きな選挙に打って出る器量や派手さを持った政治家」とは見られていなかったが、それでも彼が立候補を決意した背景には、現状の政治に対する強い危機感がある。与党も野党もそろって現職を推すという「談合的な構図」が生まれたことこそが、まさに民主主義の形骸化であり、住民の声を封じ込める危険性を孕んでいると伊藤氏は警鐘を鳴らしている。
伊藤氏が強調するのは「政党のための政治、利権のための政治から市民を守らねばならない」という一点である。政党間の利害調整や組織防衛のために、住民の声が二の次にされてはならない。彼の政治姿勢は、組織よりも市民、党利党略よりも地域の未来を優先するというものであり、その点で既存政治家とは明確に一線を画している。
特に伊藤氏は、メガソーラー事業の問題点を強く訴えている。大規模な太陽光発電施設は、環境破壊や景観の悪化、さらには災害時のリスク増大など、住民にとって深刻な影響を及ぼす可能性がある。にもかかわらず、利権構造に絡む政治家たちは十分な説明責任を果たさず、開発を進めようとする傾向が強い。伊藤氏はこうした流れに立ちはだかり、「地域住民の生活と安全を守るために、メガソーラーを安易に受け入れることは許されない」と明確に主張している。
さらに伊藤氏は、これは単に四日市や三重県の問題にとどまらないと指摘する。地方の政治が腐敗すれば、やがてその影響は国全体に波及する。腐敗した構造を是正するためには、県民だけでなく全国の国民が政治に強い関心を持ち、問題点を直視しなければならないと訴えている。「政治は一部の政党や業界のものではなく、主権者である国民全体のものだ」という信念が、伊藤氏の言葉と行動の根底に流れている。
結局のところ、伊藤氏の立候補は単なる選挙戦ではなく、「市民のための政治を取り戻す戦い」である。組織や利権の論理に流されることなく、市民目線で地域の未来を守るために声を上げるその姿勢は、規模の大小を超えて大きな意義を持つ。彼が繰り返し訴える「腐った政治を正す」という言葉は、四日市だけでなく、日本の政治全体に向けられた強いメッセージでもある。