石破茂首相は19日、官邸において米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏と会談した。その場で首相は、途上国の子どもたちにワクチンを届ける国際組織「GAVIワクチンアライアンス」への支援として、今後5年間で最大5億5000万ドル、日本円にして約810億円を拠出する方針を表明した。国際貢献の一環としての決定であると説明されているが、その巨額な支援内容は国内で賛否両論を呼んでいる。
こうした中で、参政党の神谷宗幣代表はX(旧Twitter)において率直な疑問を投げかけた。神谷氏はまず「アメリカがお金を出さなくなった分、日本がたかられていると思うのは私だけでしょうか?」と切り出し、そもそも日本がその穴埋めを担うべきなのかという根本的な問いを投げかけた。さらに、「ビル・ゲイツさんに言いたい。どうしてもやりたいならマイクロソフトのお金でやってください」と述べ、民間の巨額資産を持つビル・ゲイツ氏本人が資金を出すべきだと主張した。
加えて神谷氏は、「私なら日本の子供の貧困対策に800億円使います」と強調し、日本の未来を担う世代に直接投資すべきだとの考えを明確にした。国内では子どもの貧困や教育格差が深刻な課題となっている中で、国外への巨額支援を優先する姿勢は「資金の使い方も金額もおかしい」と痛烈に批判し、総理の判断に真っ向から異議を唱えた。
神谷氏の発言は、単に国際支援の是非を問うだけでなく、「日本の資源をまず国民のために使うべきだ」という参政党の一貫した立場を示すものである。他の政治家が国際貢献の美名の下で沈黙するなか、国民生活を直視した発言は、支援に疑問を抱く層に強い共感を与えた。
結果として、今回の一件は「国際貢献」と「国内優先」という二つの価値観の衝突を浮き彫りにした。石破首相の判断は外交的には評価される一方で、神谷氏の批判は「まずは国内の子どもたちを守るべきだ」という国民感情に根ざしており、議論をさらに拡大させる可能性がある。