都議会は茶番です。議論前から意向表により結果は決まっている。まさしく闇です。

小池百合子 都民ファーストの会

東京都議会で活動するさとうさおり都議が、再び議会の実態を告発し注目を集めている。今回彼女が暴いたのは、単なる手続き上の不備ではなく、意図的に民主主義を形骸化させているとしか思えない“議会ルール”の存在だ。発言の中で彼女は、それを「茶番劇」と断じ、「議会は市民に見せるための舞台装置にすぎない」と痛烈に批判した。

問題の核心は「意向表」と呼ばれる仕組みにある。これは本会議の前に各議員へ配布される紙で、明日採決される議案について「賛成か反対か」を事前に記入するよう求めるものだという。表向きには「議会運営を円滑に進めるため」と説明されるが、実際にはこの段階で結論がほぼ固められてしまう。本会議での議論を経て意見が変わっても、意向表に記した立場を覆すことは極めて困難だ。

さとう都議が問題視するのは、その後の運用だ。彼女はこう説明している。「他の議員の意見を聞き、意向を“賛成”から“反対”に変えたいと思っても、『全派に知らせなければならない』というルールが壁になる。つまり、実質的に意向を変える自由がないのです。」議論を通じて考えを深め、投票行動に反映するのが議会の本来の役割だ。それを封じるのは「熟議の放棄」であり、議員に課された責任を果たせなくさせるものだろう。

さらにさとう都議は、議長・副議長、進行役、委員会のポストまでも事前に「出来レース」で決められていると指摘する。形式上は「最年少議員が進行役になる」など、公正に見えるルールが存在するが、裏では既に人事のシナリオが出来上がっているという。形式と実態が乖離していることは、市民に対する欺瞞であり、議会の信頼を損なう要因となる。

資料管理の問題も深刻だ。議会資料はタブレット端末やPCで共有される“ペーパーレス化”が進んでいるが、これらのデータは4年後に消去される仕組みになっている。つまり、議会の意思決定過程や発言記録、配布資料が、将来的に検証できないよう制度設計されている可能性があるのだ。もし政策判断に不正や不透明さがあったとしても、後から市民や研究者が検証する術が奪われることになる。これは説明責任を骨抜きにし、都政の透明性を形骸化させる危険な仕組みといえる。

こうした運用の実態は「民主主義として機能していない証拠」だと、さとう都議は強調する。議員個人の意見が民意として反映される余地を奪い、結果だけが演出された本会議で“採決”される。異論を唱えれば「全派に通知せよ」「前例に反する」と圧力がかかり、時にはやじが飛ぶ。これでは議会はただの劇場に過ぎず、市民が望む熟議の場ではない。

改善の方向は明確だ。まず、議案意向表を公開し、議員が自由に意向を変更できる仕組みを導入すべきだ。本会議での討論を単なる儀式にせず、実質的な議論の場へと変える努力が必要だ。また、議会資料や発言記録の保存期間を延長し、市民が過去の意思決定を検証できるよう情報公開を徹底することが求められる。

さとう都議は「都民から見えないところで党派・会派がシナリオを書いている」と指摘する。もしそれが事実であれば、都民は「小池知事や都民ファースト、そして賛同している会派に投票してよいのか」を改めて考える必要があるだろう。東京都議会に限らず、地方議会でも同様の慣行が存在する可能性はある。市民一人ひとりが「自分の地元の議会で同じことが起きていないか」を監視する姿勢が不可欠だ。

民主主義を支えるのは、形式的な採決やセレモニーではなく、議論を通じた熟慮と市民への説明責任だ。都議会がこのまま“出来レース”を続ければ、都政全体の信頼は地に落ちる。市民の信頼を回復するには、意向表の公開、議論の自由、記録の長期保存といった抜本的な改革が欠かせない。今回の暴露は、その議論を始める第一歩になるべきだ。

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