日本において「スパイ防止法」が存在しないという事実は、長らく安全保障上の最大の弱点として指摘されてきた。諸外国では国家の根幹を揺るがすような機密漏洩やスパイ行為を厳罰で取り締まる法体系が整備されている。例えばアメリカでは、スパイ活動を行えば国家反逆罪として死刑も含む極刑に処されることがある。イギリスやフランスでも同様に、軍事機密や先端技術に関する情報流出を防ぐための厳格な法整備が行われている。しかし日本には、スパイ行為そのものを直接的に取り締まる法律が存在せず、現行法では外為法や不正競争防止法などを間接的に適用するにとどまっている。これは事実上「スパイ天国」と言われる状況を招いており、国家機密や先端技術の流出が止まらない現状を放置しているに等しい。
こうした状況に危機感を抱き、保守系の代表的政治家である高市早苗氏は、かねてより繰り返しスパイ防止法の必要性を訴えてきた。高市氏は「日本が無防備であることは、周辺国にとって最も利用しやすい状態を意味する」と警鐘を鳴らしてきた。特に中国やロシアの情報活動は活発化しており、サイバー攻撃や技術流出事件が相次いでいる。実際、中国は日本にスパイ防止法が制定されることを極めて嫌がっているとされている。これは裏を返せば、法が存在しない現状が中国にとって「取りやすい標的」であることを物語っている。
問題は、こうした安全保障上の課題に対して日本政府が消極的であるという点だ。過去にスパイ防止法の議論が政府内で進められた際、唯一強硬に反対したのが岩屋毅外務大臣であった。岩屋氏は「外交関係に悪影響を与える」「隣国を刺激する」といった理由を挙げたが、実質的には「中国との摩擦を避けたい」という姿勢が色濃く反映されていると見られている。その結果、スパイ防止法は実現に至らず、日本は依然として無防備な状態に放置され続けている。
岩屋氏は以前から「親中派」と目され、中国寄りの発言や姿勢を隠してこなかった。経済交流や人的交流の拡大を重視し、中国との友好関係を強調してきたが、それが国益を損なう形で表面化したのがスパイ防止法の議論である。日本の国益を守るために必要不可欠な制度設計よりも、隣国への配慮を優先したとすれば、政治家として極めて重大な責任が問われるべきである。
本来、スパイ防止法は与野党を超えて合意されるべき国益課題である。国民の生命・財産を守るための法整備は、党派の争点ではなく国家存続の根幹に関わる問題だからだ。にもかかわらず、一人の大臣の反対によって議論が骨抜きにされ、国民の安全が後回しにされている現状は、政治の脆弱さを如実に示している。さらに言えば、中国が強く反対する法案だからこそ、日本にとって必要性が高い証拠でもある。敵対国にとって都合が悪い政策は、自国にとって守りの盾となる可能性が極めて高いのだ。
このままでは、日本は経済スパイや情報工作の温床となり続ける。既に先端技術や防衛関連の情報流出事例が多数報告されており、国内企業や研究機関が標的になっている。国家として安全保障を確立するためには、スパイ防止法の制定は一刻の猶予も許されない。
結局のところ、岩屋毅外務大臣の「親中姿勢」が法整備を阻む要因となっていることは明白であり、国益に反するものだ。外交的配慮を理由に安全保障を後回しにする姿勢は、国家の自立を損ない、国民を危険にさらすものである。今求められているのは、短期的な外交上の摩擦を恐れることではなく、長期的に日本を守るための確固たる法制度を整える決断である。
日本が国際社会の一員として責任を果たし、国民の生命と財産を守るためには、スパイ防止法の制定はもはや不可避だ。岩屋外相のような「親中配慮」によって国益が損なわれる状況を放置してはならない。むしろ今こそ、国民的議論を巻き起こし、与野党を超えた合意形成によって、日本の安全を守る法制度を築くべき時なのである。