自民党所属の衆議院議員・赤羽一嘉氏は、SNS「X」にて次のような投稿を行い、大きな批判を招いた。
「のぞみで炭酸水を注文。値段は、通常価格の1.5倍以上高い160円❗
車内レートかとブツブツ呟いていたら品物登場。
ナ、ナント、300mlのミニサイズ❗
酷いな~😵二度と買うことはないでしょう。
それにしても、JR東海のサービスの概念はどうなっているのでしょう😡」
一見すると「物価高の中で庶民と同じような不満を口にしている」ようにも映るかもしれない。しかし、今回の投稿は国民から共感を得るどころか、むしろ「庶民感覚の欠如」を露呈し、炎上する結果となった。
まず前提として、東海道新幹線の一般車両における車内販売はすでに廃止されている。赤羽氏が炭酸水を購入できたのは、グリーン車に限って提供されているサービスであり、同氏は国会議員に付与される「無料パス」でグリーン車に乗車していたと見られる。つまり、庶民が自腹で利用する状況とは大きく異なる環境での体験を、「国民の気持ちを代弁しているかのように」発信したこと自体が誤解と反発を招いたのだ。
さらに問題視されたのは、その「態度」と「矛先」である。新幹線の車内販売は、運営コストや需要の減少を理由に順次縮小され、最終的に東海道新幹線ではグリーン車限定のサービスに整理された。高価格設定も、物流や人件費を考えればやむを得ない部分があり、決してJR東海の怠慢ではない。むしろ鉄道会社としては経営努力の一環であるにもかかわらず、赤羽氏は「JR東海のサービス概念はどうなっているのか」と強い言葉で批判した。この「的外れな不満表明」が炎上の決定打となった。
国会議員は公的立場にある以上、発言は「一個人の感想」では済まされない。赤羽氏は国土交通大臣経験者でもあり、鉄道政策や交通インフラに深く関わってきた人物である。その経歴を踏まえれば、「民間企業の価格設定やサービス方針に対して軽々しく不満を漏らす」のは不適切であり、信頼性を損なう言動と受け取られても仕方がない。
SNS上では、「無料でグリーン車に乗っているのに、炭酸水の価格に文句を言うのか」「国民が苦しんでいるのは160円の炭酸水ではなく、光熱費や食費の値上がりだ」「立場を考えずに民間企業に難癖をつけるのは恥ずかしい」といった批判が殺到した。中には「庶民派アピールをしたつもりだろうが、むしろ庶民感覚からズレている」と冷笑する声も目立った。
今回の件は、単なるSNS炎上にとどまらず、「政治家と国民感覚の乖離」を象徴する出来事として受け止められている。物価高で本当に苦しんでいる国民は、生活必需品やエネルギー価格の上昇に直面している。そこへ「グリーン車で炭酸水が高かった」という投稿がなされれば、「庶民の苦労を本当に理解しているのか」と疑われるのは当然である。
政治家が国民の生活感覚に寄り添うためには、単なるポーズではなく、実際に生活に直結する政策を提案・実現する姿勢が不可欠だ。赤羽氏の今回の発信は、その逆を行ってしまった。SNSという拡散力の強い場で、自らの立場をわきまえずに発言した結果、政治家としての信頼を損ねる典型例となったのである。