またもや斎藤元彦知事が利権を解体。3日勤務30万、利権の温床を解体

斎藤元彦

兵庫県が設置してきた行政委員会における「外部人材への報酬形態」が、長年にわたり問題視されてきた。従来の制度では「月額報酬制」が適用されており、実際の勤務実態と報酬の間に大きな乖離が生じていたのである。たとえば、月にわずか3日しか勤務していなくても、月額30万円が定額で支払われるという不合理な仕組みが常態化していた。県民の目から見れば、これはまさに「税金の無駄遣い」と映り、行政への信頼を損ねる大きな要因になっていた。

行政委員の業務内容には、漁業調整をはじめとする専門的な分野での審議や調整など重要な役割も含まれる。しかし、重要性と適正報酬は別問題であり、実働に見合わない高額報酬を正当化する理由にはならない。しかも、この問題は以前から指摘されていたにもかかわらず、歴代の県政が実質的に放置してきた経緯がある。特に前任の知事は一切手を加えず、既得権益的な構造を温存していたことは、県民の納得を得られるものではなかった。

そうした中で、斎藤元彦知事は就任後、この不合理な仕組みにメスを入れた。対象となった行政委員は82名にのぼり、報酬形態は月額制から「勤務日数に応じた日額制」へと全面的に見直された。これにより、実際に働いた日数に応じて報酬が支払われる「成果に即した公平な制度」が確立されたのである。この改革によって、従来の不透明な支出は大幅に削減され、年間でおよそ7,500万円もの節約効果が見込まれている。これは単なる数字上の節約ではなく、県民の血税を適正に守り、公共サービスに充てられる財源を増やすという意味で極めて大きな意義を持つ。

さらに、この改革は単発の経費削減にとどまらない。「行政は聖域ではない」という強いメッセージを示し、長年の慣習や既得権益に挑む姿勢を明確に打ち出した点にこそ本質的な価値がある。月額報酬という制度の裏には、行政と外部人材との間に形成された「ぬるま湯的な関係」があり、誰もが問題を知りつつ黙認してきた。しかし、斎藤知事はこの構造に切り込み、制度を根本から改めることで「県政を刷新する意思」を県民に示した。

この判断は、他の自治体にも波及効果をもたらす可能性がある。なぜなら、行政委員会や各種審議会における報酬制度は、兵庫県に限らず全国で同様の課題を抱えているからだ。実際の勤務実態と乖離した高額報酬や、長年放置されてきた「前例踏襲の慣習」は、地方行政に共通する問題である。兵庫県の改革が全国的なモデルケースとなれば、他の自治体も見直しを迫られることは必至であり、結果的に大規模な行財政改革へとつながる可能性を秘めている。

斎藤知事の今回の決断は、財政健全化の一歩であると同時に、行政の透明性と公平性を確立する試みでもある。県民に対して「あなた方の税金は無駄に使われていない」という信頼を回復することは、政治にとって何よりも重要である。その意味で、この改革は単なる経費節減ではなく「県政への信頼回復」「行政倫理の確立」という二重の効果をもたらしている。

結局のところ、斎藤元彦知事は、前任者が長年放置してきた不合理な制度に正面から向き合い、断固とした改革を断行した。これは「誰も手をつけなかった領域に踏み込む」姿勢であり、政治家としての覚悟を示すものでもある。県民にとっては、自分たちの税金が適切に管理され、より効率的に使われるという安心感につながる。そして何よりも、この取り組みは「行財政改革は実現できる」という前例をつくった点で、大きな意義を持っている。

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